【解説】今、流行っているPRP療法って何?

この記事について

今、「皮膚」「再生医療」で検索するとものすごい数ヒットするのがPRP療法です。
美容クリニックで宣伝されていて、中には魔法のような効果を謳っているものもあります。
再生医療研究者としてアンチエイジングの正しい知識を普及させたいと考えるこのブログでは、このPRP療法について現在出ている論文を参考にして、あくまで中立の立場で情報を共有させて頂きたいと思います。
まず、究極の質問。
自分ならこのPRP療法受けたいか?
結論から言うと、(お金があれば)受けてみたいと思いました。
このページを読むと、
  • PRP療法が何なのかが分かる
  • PRP療法の持つアンチエイジング効果とこれからの課題が分かる
  • どのようにクリニックを選んだら良いかがわかる
なお、このページの内容はPRP療法に関連した108の論文をまとめた以下のシステマティックレビュー(研究を網羅的に調査し,同質の研究の分析を行った論文)を元に作成しています。
参考文献:
Lei X, Xu P, Cheng B. Problems and Solutions for Platelet-Rich Plasma in Facial Rejuvenation: A Systematic Review. Aesthetic Plast Surg. 2019 Apr;43(2):457-469.

PRP療法って何?

まずPRP療法を理解するために、人間の血液がどのような成分で出来ているかを説明します。
血液は、赤血球、白血球、血小板の細胞成分(血球ともいう)と、血漿(プラズマ)と呼ばれる液体部分から成り立っており、血液全体のおよそ45%が細胞成分で、残り55%程度が血漿(プラズマ)です。この血漿(プラズマ)には水分や栄養素、酵素、ホルモンなどさまざまな生理活性物質が溶けています。
PRPはPlatelet-rich plasmaの略で「血小板の多いプラズマ」と言う意味です。これは自分の血を遠心分離という方法で濃縮して得られる血小板の濃縮物であり、その成分の主なものは血小板とフィブリンで、白血球はあってもなくてもよいとされています。
血小板は活性化されると、脱顆粒という方法で様々な成長因子や活性因子を分泌します。
PRP療法はこのような生理活性の高い血小板を濃縮して自分の皮膚の層に注射することで、老化した皮膚の下に新しい皮膚が出来ることを促進し、肌をよみがえらせようと言う治療です。
PRP療法をどのように実際に施行していくかは、そのクリニックにより違うようですが、多くはこのような治療を半年から1年ごとに繰返し施行していくことが多いようです。
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どうして効くの? 本当に効くの?

結論として、現在のところ「効く」とされている報告が多いです。
どうしてこのような歯切れの悪い言い方になってしまうかというと、現状で2つの問題点があるからです。

問題点1: なぜ効くのかと言うのがあまり明らかになっていない

見つかった論文のほとんどがPRPの効果にのみ着目していて,その作用機序についてコメントしているものは少なく、顔の老化における成長因子の役割はいまだに不明です。

問題点2:PRP療法は施行しているクリニックでバラバラなことをやっている

言い換えるとPRP療法には標準的なものはなく、投与方法や投与期間などクリニックによってばらついています。それ以外にもPRPを作るための遠心分離機の遠心力、遠心時間、遠心回数、血小板を活性化する方法、もともとの患者さんの状態、血小板の数、白血球が含まれているかどうかなども違います。
このため、実は108個の論文の中には特に効果がなかったとされるものも含まれています。
つまり投与するPRPの性質や投与方法によっては効果がない場合もあり得るのです。
今後、この治療法の標準化が進んで、しっかりとしたエビデンスが出ることに期待したいです。
ただ、現状ではそういった状況であり、色々な報告を含めてPRP療法全体としての大きな結論出すと、一応効果は「ある」とされます。

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副作用とかあるの?

PRPの副作用に関する報告は少ないです。ただPRPは非常に生理活性が高いので、潜在的にはPRP治療には軽いものから重いものまで数々の合併症が起こる可能性があります。
報告されている中で最も重篤だったのは、眉間のしわの治療のためにPRPを注入され、最終的に右目の回復不能な失明と視神経の梗塞を患った1人の患者の報告です。
参考論文:Kalyam K, et al. (2016) Ophthal Plast Reconstr Surg 33:S12–S16
ただこれはPRPのせいではなく、投与する手技に伴って引き起こされた可能性の方が考えやすい報告です。

結局どうしたらいいの?

  • 治療費が高いのと治療効果に個人差があること、副作用の可能性もある事を理解した上で、やりたいならやってもいいかも。
  • (難しいですが)広告ではなく、優良なクリニックを選ぶ。
PRP療法自体は魅力的な治療法で、多くの経験と医学的根拠もあります。
また基礎実験では、若いうちの方が治療効果が高いことも言われているために、若いうちからやっておくというのも一理あるかもしれません。
参考論文:Vavken P, et al. J Orthop Res 28(2010):1107–1112
しかし、先ほども述べましたが、PRP療法はクリニックによって違う精製や投与方法を行っています。
また自由診療であり高額です。
なるべく経験数が多く、効果が出ていることが明らかになっているクリニックを選ぶべきです。
優良なクリニックは常にフィードバックを求め、最適な治療効果を得られるようにしていますので、どれくらいの投与人数でどのくらいの効果があったのかというのをある程度定量的に答えてくれるクリニックがいいと思います。
(例えば現在までXX人に投与して、患者満足度は10段階のうちこれぐらい上がって、医学的な視点でもこのようなパラメーターが改善している、など)
また副作用報告も正直にしてくれるところの方が信用出来ます。
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まとめ

  • PRP療法は活性の高い血小板を濃縮して皮膚に投与する治療!
  • 医学的根拠はあるが、現状は施行しているクリニックによって方法はさまざま。
  • 治療費が高いのと治療効果に個人差があることを理解して判断する。理解して判断する。

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